日本飛行機の「はやぶさ」搭載機器
日本飛行機はJAXAの小惑星探査機計画「はやぶさ」に、次のコンポーネント開発で参画しました。
・サンプル採集装置用伸展スプリング
・再突入カプセル放出用スピン分離スプリング

図1 はやぶさ探査機
探査機「はやぶさ」の特徴的な形状の1つは、探査機下面に突き出しているサンプル採集装置(サンプラ)です。ミッションの1つであるサンプルの採集方法は図2に示すとおりで、小惑星の微小重力や、最終的には到着してみないと分からない惑星の地形および表面の状態などに対応するために、考え抜かれた結果です。探査機システムの設計に関しては、2010年6月の帰還成功以来、多くの書籍が刊行されていますので、詳しくはそれらを参考にしてください。
多くの人工衛星(惑星探査機)がそうですが、このような、突き出たり拡がったりしている部品は、ロケットに搭載する時には畳んでおく必要があります。サンプラも同様で、打上げ時には縮めておき、打上げ後所定の長さに伸展させる必要があります。
また伸展した後、小惑星に着陸(タッチダウン)する場合には、その衝撃を和らげたり、サンプラの先端を惑星表面に倣わせる柔軟性も必要です。
これらの機能を満足するために開発されたコンポーネントが、「伸展スプリング(ダブルリバースヘリカルスプリング)」です。これは、当社の「コイラブルマスト」の技術を応用したものです。(図3)
直線状の縦部材(ロンジロン)を、らせん(コイル)状に変形させるため、大きなストローク(伸び/縮み代)をもつバネのように動作します。

図2 小惑星へのタッチダウン

図3 サンプラとサンプラ用DHS
「はやぶさ」のもう一つの大きなミッションは、小惑星で採集したサンプルを地球の研究者へ送り届けることです。「はやぶさ」では、サンプルをカプセルに格納し、これを分離、放出して地球に再突入させています。カプセルに分離速度と、分離後の姿勢安定のために進行方向に回転(スピン)を与える装置が、「スピン分離スプリング(ヘリカルスプリング)」です。これは、サンプラ用のスプリングと比べると丈は短いですが、原理は同じです。

図4 再突入カプセルの分離
図5 カプセル分離スプリング
高さ方向に捩じりながら押し潰し(圧縮)してセットします。このとき曲げられた縦部材(ロンジロン)がバネのような働きをすることになります。
押し出しながら回転させる機構は、一般的なコイルバネとスピンテーブルを組合わせたものもありますが、このバネは、同じ機能を極めてシンプルに実現し、軽量化はもとより信頼性の向上に貢献しています。このような機構のスプリングは他に類を見ない、世界唯一のものです。
打ち上げ後7年間、宇宙空間でセット状態で維持されたスプリングは、2010年6月、無事カプセルを分離し、カプセルを地上に戻しました。
このようなスピン分離スプリングは小型実証衛星「マイクロラブサット1号機」や、月周回衛星「かぐや」の子衛星の分離にも適用されました。次期小惑星探査機「はやぶさ2」へも搭載される予定です。